満鉄・興亜院と並ぶ華北農村調査
弁納才一
今回、配本の各冊には、中華民国新民会中央指導部による地方事情調査資料・工作資料と中華民国新民会中央総会臨時調査班による『共産地区調査報告』のうち、農村調査報告書類を収録した。すなわち、地方事情調査資料としては第1号『河北省徐水県事情』をはじめとする河北省の16県の調査を、また、工作資料としては『邢台県農村実態調査』の日本語版と中国語版を収録した。これらの資料は全て1939 ~ 41年に刊行されたものであり、満鉄や興亜院の中国農村調査報告書などとともに、戦時期の華北農村の実態を解明する上で貴重なものであるが、これまでの研究ではあまり本格的には利用されていない。
中華民国新民会は、1937年12月に日本軍の華北占領地において傀儡政権の政務執行を補佐し、親日的人材を養成する組織として成立し、反共・反国民党(反蒋介石政権)を提唱していた。